化学の散歩道

熱がすべて仕事にならないのは

エネルギー問題が大変深刻な現代ですが、熱エネルギーのすべてを、機械を動かすなどのエネルギー(仕事)に使えればよいのにな、と思っても、それはできないよと学校で習います。そうはいっても、なぜかと言われると、かなりむずかしいですよね。逆に、仕事はすべて熱エネルギーに変えられる、とも習うので、自然は人間に厳しいこと言うな、と思ったりするわけです。

私が学生の時、うまい説明をしてくれた先生がいて、今回はそれを私なりに少しアレンジして紹介したいと思います。

物質は原子・分子の集まりであるわけですが、その物質のもつ熱とはその物質の原子や分子がランダムに振動しているそのエネルギーとなります。振動はランダムなので、その物質は熱をもっているからといってもある方向に向かって動くことはありません。仕事というのは、ある質量をもつ物質を動かすことなので、その時、その物質の原子・分子はすべてその方向に動いたことになります。熱エネルギーをすべて仕事にするというのは、向きがめちゃくちゃなランダムな振動のエネルギーを全部、一方向の移動のエネルギーに変えられたら、となるので、これは原理的には可能ですが、現実には不可能ということになります。

この説明が、熱力学的に全く問題がないのか、はちょっとわかりませんが、イメージ的には上のように考えると結構、納得できますね。

振動が止まってエネルギーが熱エネルギーはゼロとなる温度が、絶対零度で、原子・分子はもう動かないのだから、それより低い温度はないことになりますが、数学の虚数のように、絶対零度より低いマイナスの温度というのは本当にあり得ないのか、などとSFのようなことを考えてます(暇ですね)。負の振動というのがあって、その振動は負のエネルギーをもつということがありうるのでしょうか。そうであれば、さらにマイナスの温度はあっても良さそうな気がしています。これとは話が違いますが、非現実的と思ってもおかしくない反物質も存在しますから、なんでも反対のものがあるなら、そんな世界もあるかもしれません(私のひとり言です)。最近暇になったので、そんなことに真面目に思いを馳せたりしています。未来の科学がそのような妄想から始まることもあるかもしれない、と勝手に納得しています。ひょっとしたら私が勉強不足なだけで、もうわかっていることなのかな。知っている人がいれば教えてください。