もうだいぶ前から、業績主義は成果をあげるには最もよい考え方と言われてきた。企業でも大学でも、とにかく競争なのだから、無駄を省き、目的には最短ルートで迫るべき、が基本姿勢である。確かに成果は上がるのだが、短期的にはよくても、どうも長続きはしない。当たり前のことだが、息切れして、ある時期から急激にペースダウンしたり、ひどいときは体を壊してしまうのである。ただ、自分が考え、自分の裁量でやっている場合はかなり無理してもそれほどは応えない。人から指示されてやるときに持たないのである。つまり、その人の気分が、疲れる疲れないのかを決めるかなり重要がファクターとなっている。人とは随分と感情の生き物なのだなと、改めて思う。しかし、この業績主義ははなはだ大きな問題を含んでいる。つまり、人に対する暖かさを失ったり、とにかく利己主義になっていったりする傾向があるのである。社会、もっと言えば世界はすべてリンクしているので、自分一人が幸せになることはあり得ないのであり、また、その逆に、一人だけが不幸になることもまずないのである。つまりすべての出来事は連鎖しており、人に親切にしたり、思いやる心があったり、感謝の念があればあるほど、自分も周りも、さらにその周りも幸せになるのだなあと、この年なってみてしみじみと思う。若いとき、がむしゃらに働いているときはそれがなかなかわからない。何か人に頼まれたりすると、利用されていると考えてしまったりするのであるが、実はそうでないことが多いかなと思う。これも最近、よく思うのだが、人からものを頼まれるうちが花なのである。
仕事がうまくいかないと始まらないとは思うが、今の日本の社会は、あまりにも心と生活の余裕がない。日本は給料が安すぎるからなんだろうか。